B31J 手法 (Methods) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

ASME B31J の 応力集中係数 (i-Factors)、たわみ係数 (k-Factors)、金属配管部品のそれらの決定方法 は、金属配管規格でのたわみ係数と応力解析に用いる標準的な手法を提供しています。B31Jは代表的な運転での金属配管部品と継手部分を安全側に疲労と持続荷重強度を評価することができます。

ASME B31J の i-factor と k-factor は、ASME B31.1とB31.3配管規格の最新版で参集されている、より適用可能なデータ を提供しています。ASME B31J の i-factor と k-factor を用いることで解析結果は改善されます。同様に、B31J は、配管応力解析において持続荷重 (SUS) と短期荷重 (OCC) と共に用いる持続応力インデックス (SSI) などような、より適用可能な公称応力に対する応力乗数を算出することができます。

B31J 応力集中係数 (i-factor)、たわみ係数 (k-facor) の適用について

CAESAR II は、B31J たわみ係数と SIF をすべての金属配管規格に適用して、より精度の高い実際的な変形、荷重、応力を算出することをお勧めします。

2020年版以降の ASME B31.1 と B31.3 のような新しい ASME配管規格では、デフォルトで B31J を使うよう要求しています。ASME 31.1 と B31.3 の 2018年版とそれより古い従来の配管規格では、B31J の使用は代替手法でした。非ASME金属配管規格に置いても B31J を適用することが可能です。

多くの配管規格では異径ティーについて、ブランチ側に有効断面係数を用いて曲げ応力を計算するように規定しています。B31J の SIF と SSI 計算では、常に接続する配管の断面係数を使います。

CAESAR II が B31J を使う際に Apply B31J SIFs and Flexibilities (B31J SIF とたわみ係数の適用)Enforce B31J SIFs Only (B31J SIF のみを適用) かを 環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor) のオプションで設定できます。

制限と条件 (Limits and Conditions)

B31J規格では、多くの規格や標準がそうであるように、形状制限や B31J の SIF やたわみ計算が有効であるための満足すべき条件があります。これらの制限は Table 1-1 に示されている適用可能な断面についてそれぞれの部品の注釈で説明されています。制限の一部例は次のとおりです:

  • SIF とたわみ計算の有効範囲は、外径肉厚比 D/T £ 100.

  • ブランチ径 £ ヘッダー径

  • B31Jは d/D < 0.5 を異径ティーのブランチとして扱います。他のほとんどの配管規格では d/D < 0.975 です。

  • ほとんどのブランチの軸はヘッダー配管の表面に対して 5度以内で直交しています。

  • 工場製作ティーやオーレットでは、SIF の計算はブランチの軸がヘッダー配管の表面に対して 45度以内で直交しています。

  • ティーの 種類 (Type) 1 - 補強 (Reinforced) (2.2) での補強板の有効範囲はヘッダーの公称厚さの 1.5倍までに制限されています。

  • クロッチ厚さは、少なくとも接続するヘッダー厚さより10%以上厚いことを要求しています。

  • ウェルドレット (Sketch 2.6) では:

    • 継手 (Fitting) rp が設定されていない場合、ソフトウェアは r/0.85 とします。

    • 継手 (Fitting) rp が r/0.6 より大きい値の場合、ソフトウェアは r/0.6 とします。

      ここで、r はブランチの平均半径です。

入力された形状が B31J の制限の適用範囲外である場合、ソフトウェアは警告メッセージを表示して、ユーザーの設定した値を用いて計算します。

ユーザーの設定したいかなる値、再設定値、ソフトウェアによる計算で用いた制限値は その他 (Miscellaneous) レポート で確認することができます。

非金属配管材料とその規格 (Non-Metallic Piping Materials and Codes)

CAESAR II では、B31J は金属配管規格にのみ適用可能です。B31J は FRP/GRP 材料や TD/12、BS7159、UKOOA、ISO-14692 のような非金属配管には使うことはできません。

複数の SIF 配管規格 (Multiple SIF Piping Codes)

異なる配管規格で、応力計算で用いる SIF は、1 から 4 までの異なる値を定義しています。B31J は、面内、面外とねじりの3つの方向の応力集中係数とたわみ係数を計算します。

CAESAR II では、いずれの配管規格でも面内、面外、軸、ねじりの 4つの SIF を与えることができます。それぞれの配管規格でどの SIF を使うかが規定されています。

1つの SIF 配管規格 (Single SIF Piping Codes)

ソフトウェアは、配管規格が 1つの SIF を使った応力式を定義している場合、面内と面外の SIF の大きい値を使います。ソフトウェアはそれぞれの方向のたわみ係数を使います。

基本配管入力 (Piping Input) では、 ユーザ SIF (User SIFs) ダイアログ に 3つの SIF についての B31J の要求事項を表示します。エラーチェック (Error Checking) は、最も大きい SIF を選択して、CAESAR II の計算エンジンに渡します。

1つの SIF 配管規格の主な例 (Primary examples of single-SIF codes are):

SIF とたわみ計算の基本 (Basis for SIF and Flexibility Calculations)

CAESAR II では、SIF とたわみ性計算に 配管と部品の公称値 を用います。環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor)All Cases Corroded (腐れ代の考慮) オプションや 腐れ代 (Corrosion) は B31J では適用されません。

SIF とたわみ係数計算は直接的には材料の 縦弾性係数 に影響を受けず、部品の形状のみ影響を受けます。しかし、ティーの剛性計算では 静的解析 - 荷重ケース編集 (Static Analysis - Load Case Editor) ダイアログ の各 荷重ケース (Load Cases) タブ で定義された 縦弾性係数 を使います。ベンドもまた エルボ剛性縦弾性係数 (Elbow Stiffening Elastic Modulus)エルボ剛性圧力 (Elbow Stiffening Pressure) に基いて補正します。

B31J では、ベンドの SIF とたわみ係数は B31.3 のようなほとんどの配管規格でわずかの違いを除いて同じです。円滑な90度ベンドでは、B31J は面内と面外のたわみ係数は 1.3/h です。B31.3ではたわみ係数を 1.65/h から計算しています。

CAESAR II は B31J 計算で次のように考慮します:

  • 回転 (モーメント) のばねに剛性しています。並進方向の剛性は常に剛です。

  • ブランチ接合での d/D が 1.0 より小さい場合、ヘッダーのたわみ係数はしばしば 1.0 より小さく、たわみ係数は無視され、剛な剛性が使われます。

  • たわみ係数が 1.0 に等しいか小さい場合、たわみ係数に関連した剛性は剛となります。たわみ性と応力集中係数は 1.0 より小さくはなりません。たわみ係数を除いて、応力集中係数のみが使われます。

フランジ接合のベンド、マイター、ティーの剛性効果 (Stiffening Effect When Bends, Miters, and Tees Have Flanged Ends)

B31J では、ベンド、マイター、ティーについてフランジ接合の場合に補正係数を適用します。

円滑なベンドと幅の狭いマイターでは、補正係数は B31.3 の補正方法と同じです。

ブランチ接続でヘッダー側がフランジ接続である場合、ソフトウェアはB31J Table 1-3 の式からブランチ側に補正係数を使います。ブランチのたわみ係数は、フランジや他の剛な部品がヘッダー側の近くに 1つ以上あれば固くなります。

フランジによる硬化補正係数は、幅広のマーターには適用されません。

SIF とたわみ係数の位置 (Location of SIFs and Flexibility Factors)

B31J は SIF とたわみ係数を次の位置に適用します:

  • ヘッダー側に SIF とたわみ係数 - ヘッダーとの交差部

  • ブランチ側たわみ係数 - すべてのサイズのヘッダー外表面

  • d/D < 0.5 の異径ティーのブランチ側 SIF - すべてのサイズのヘッダー外表面

  • d/D ³ 0.5 のティーのブランチ側 SIF - ヘッダーとブランチの中心線の交差

ティーにおけるサーフェス節点と仮想剛体要素 (Surface Node and Fictitious Rigid Element in a Tee)

CAESAR II は自動的にヘッダー要素とブランチ要素の交点のヘッダー外表面に節点を生成します。これは、B31J SIF/分岐 (SIFs/Tees) 補助パネルに サーフェス節点 (Surface Node) として表示されます。また、ソフトウェアは自動的にヘッダー 節点 (Node)サーフェス節点 (Surface Node) 間のティーのブランチ側に 仮想の 剛体要素を生成します。ソフトウェアはこの仮想の要素を使って内部の B31J 計算を行います。結果として、ブランチ側は2つの要素に分割されます: 仮想の剛体要素と残りの サーフェス節点 (Surface Node) から外向きにブランチまでになります。

B31J fictitious element

1 - ヘッダー配管 (Run pipe)
2 - ブランチ (Branch pipe)
3 - 節点 (Node)
4 - サーフェス節点 (Surface Node)
5 - 仮想剛体要素 (Fictitious rigid element)

  • 仮想剛体要素はソフトウェアによって生成された内部の要素で、B31J の剛体要素と等価な機能を持っています。仮想の要素は厳密に CAESAR II の生成したもので、B31J では定義されていません。

  • サーフェス節点 (Surface Node) が定義されていない場合、エラーチェック (Error Checking) は次の有効な節点番号を設定してティーのたわみ性計算を行います。

仮想の剛体要素は、ブランチ要素の一部ですがヘッダー要素の外径や材質などの特性から設定されます。

仮想要素は、たわみ性計算では重量にない剛体要素として扱われ、応力計算では d/D の比に応じて剛体要素かあるいは配管要素として扱われます。仮想要素は代表的な 3要素ティーの一部であるため、ソフトウェアは仮想要素と残りのブランチ要素に面内・面外方向を適用します。

また、CAESAR II B31Jアルゴリズムは、ブランチ要素のマニュアルでの分割、もしくは分離による剛体要素や残りのブランチ要素を認識します。ソフトウェアは面内と面外のたわみ性や SIF をマニュアルでの剛体要素やブランチに適用します。マニュアルでの分割は、自動分割とはただ 1つの点で大きく異なります。剛体要素がマニュアルで作成されているために、ソフトウェアはユーザーの設定したブランチ側の特性を持たせます。これは結果として、異径ティーやマニュアルで作成した剛体要素とヘッダーとの間で、材質や運転条件が異なる場合に小さな違いが生じるかもしれません。

静的出力プロセッサ (Static Output Processor) での 応力 (Stresses) レポート応力 (複数規格/許容値) (Stresses (Multiple Code/Allow)) レポート応力 拡張 (レガシー) (Stresses Extended (Legacy)) レポート では、仮想要素と残りのブランチ要素は次のように表示されます:

d/D < 0.5 の異径ティー:

  • 仮想剛体要素は剛体要素として応力評価は行われません。

  • 残りのブランチ要素は配管要素として、サーフェス節点で対応する SIF による通常の応力評価が行われます。

d/D ³ 0.5 のティー:

  • 仮想要素は配管要素として、交点 節点 (Node) で対応する SIF による通常の応力評価が行われます。

  • 残りのブランチ要素は配管要素として、SIF を用いずに通常の応力評価が行われます。ヘッダーの外表面でのブランチ節点は、ブランチ要素上に SIF を 1.0 とします。

ティー要素のいずれかに オフセット (Offsets) を定義すると、ソフトウェアは要素の方向と剛性を適用するためにオフセットを無視します。

持続応力インデックスあるいはモーメント係数 - SSI (Sustained Stress Index or Moment Factors -SSI)

B31J について、CAESAR II は独自の 応力集中係数と応力インデックス詳細 (Stress Intensification Factors and Stress Indices Details) 計算があります。SSI は金属配管や継手部の崩壊強度を反映しており、SIF は疲労強度を反映しているために、B31J は計算を分けています。多くの他の配管規格では、SSI を明確に定義していません。B31.3 2018年版や EN-13480 のような新しい配管規格では、SSI を SIF の関数として 0.75倍を係数に用いています。

配管規格が B31.1 や B31.3、あるいは EN-13480 のような配管規格では SSI が要求され、より適用可能なデータを用いるべき場合には、B31J の用意している SSI を使うのが望ましいでしょう。ティーやブランチ接続では、CAESAR II はブランチとヘッダーの厚さ比に依存する B31J の特別な SSI 値を使います。ベンド、レジューサ、溶接、継手では、B31J は SSI の値は SIF と同じです。

SIF と SSI は 1.0 を下回ることはありません。

B31J では、環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor)SIF Multiplier for Sustained Stress Index (持続応力指数の SIF 乗数) の設定は無視されます。

SIFとたわみ係数の低減 (Reduction of SIFs and Flexibility Factors)

溶接ティーとウェルドインカウンターティー (スイーポレット) の形状が円滑な クロッチ半径クロッチ厚さ の増肉に関する B31J 寸法要求を満足する場合、たわみ係数とSIFは低減することができます。基本配管入力の SIF/分岐 (SIFs & Tees) でこれらの特性を設定するか、環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor) Verified Welding and Contour Tees per B16.9 (B16.9 による検証済みの溶接ティーとカウンターティー)True に設定することで可能になります。ソフトウェアは自動的に形状仮定を行い、B31J Note 6 によって低減を適用します。

False に設定し、クロッチ半径 を (1/8)*do 未満、クロッチ厚さ を 1.5*T 未満に設定した場合 のみ 、ソフトウェアは実際のSIFとたわみ係数を計算します。

ラテラル分岐管 (Lateral Branch Connections)

他の配管配管規格にはありませんが、B31Jはラテラルティーに関する規定があります。CAESAR II は B31J Note 7 に準じます。

溶接および押出しオーレットティーについて、ソフトウェアはブランチ管軸がヘッダー表面に対して 5度以内で垂直であれば、B31J SIF を適用します。

補強工場製作スィーポレットやウェルドレットティーについて、ソフトウェアは、垂直面内に 45度以内で、さらに d/D ≤ 0.6 であれば、B31J の特別な要求事項を適用して SIF とたわみ性を計算します。

ティーの要素剛性と有効剛性 (Elementary Stiffnesses and Effective Stiffnesses of Tees)

B31J はブランチ接続に対して別々のたわみ係数を用いて要素剛性と有効剛性を計算します。他の配管規格ではブランチ接続に対してたわみ係数計算手法はなく、その代わりにたわみ係数 1.0 が使われています。

B31J では、CAESAR II はヘッダーとブランチのたわみ係数を用いて要素剛性を計算します。次に、要素剛性を使って、ヘッダーとブランチの有効剛性の計算を行います。これらの回転有効剛性は、たわみ係数、縦弾性係数、断面2次モーメントとヘッダーとブランチ管の外径の関数であり、次の機械工学式で与えられます: K=(EI)/(kd).

ヘッダーとブランチのたわみ係数の両方が同時に同じブランチ接続に用いられる場合、ソフトウェアはブランチ接続の釣り合いを保持するように、ばねの 併用 規則を使って荷重の相互作用を考慮に入れます。

ヘッダーとブランチのばねの有効剛性が、ヘッダーとブランチの剛性マトリックスに組み込まれます。

ヘッダーの剛性マトリックス (Run Stiffness Matrices)

  • 脚1(ヘッダー1)の剛性マトリックスは、節点2-3 のヘッダーばねを含みます。

  • 脚2(ヘッダー2)の剛性マトリックスは、節点4-5 のヘッダーばねを含みます。

ブランチの剛性マトリックス (Branch Stiffness Matrices)

  • 節点3 と 6 の間の剛体要素の剛性マトリックス

  • 脚3(ブランチ)の剛性マトリックスは、節点6-7 のブランチばねを含みます。

ソフトウェアはヘッダーとブランチの剛性マトリックスを組み合わせて、ヘッダーの中心線での交差部でのティーの全体座標系の全剛性マトリックスを構築します。

d/D の比により、SIF がティーの節点3 か節点6 のいずれかに適用されます。ソフトウェアは、d/D ³ 0.5 の場合にSIFを脚3(節点3)ブランチ交差部に適用し、d/D < 0.5 の場合にブランチ中心線のヘッダー外表面に適用します。

ブランチ接続部の d/D の比が 1.0 未満の場合、ヘッダーのたわみ係数の多くは 1.0 未満であり使われません。たわみ係数が使われない場合、対応する回転剛性は剛となります。