断面の最大応力状態を計算する方法を指定します。CAESAR II は、規格応力ではない、ミーゼスの理論、あるいは最大せん断応力説にしたがって最大応力を計算します。
規格応力は、規格で提供されている式によって算出された応力を参照します。規格で規定された応力については、CAESAR II クイック リファレンス ガイド を参照してください。
CAESAR II の作成する応力レポート (Stresses Extended output report) では、断面の最大応力状態を表す数値が表示され、降伏基準理論が示されます。
Configuration Setting (設定) |
Failure Theory (破壊理論) |
Calculated Stress (算定応力) |
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Max3D Shear (最大3次元せん断) |
Maximum Shear Stress (最大せん断応力) |
Maximum Stress Intensity (最大せん断応力強さ) |
von Mises (フォン ミーゼス) |
Maximum Energy of Distortion (最大破壊エネルギー) |
Octahedral Shearing Stress (八面体せん断応力) |
CAESAR II は、選択された応力を曲げ平面に垂直な軸に沿って 4つの点 (外表面の上、内表面の上、内表面の下部、外表面の下部) で計算し、応力レポートに最大応力を出力します。これらの降伏基準の式を次に示します。ミーゼスの理論が用いられた場合には、八面体せん断応力を計算します。これはミーゼス理論とは定数で異なります。
規格 B31.4、B31.4 Chapter IX、B31.4 Chapter XI、B31.8、B31.8 Chapter VIII および DNV では、この設定でどの相当応力を計算して使うかを指定します。これらの規格では、規格で示されている式が標準的な機械適応力式を表しているのではなく、降伏基準を決定するために用いられます。
応力式 (Stress Formulation)
CAESAR II は次の図に示すような管断面の 4つの計算点を使って最大応力をレポートしています。
4つの点は赤で示される管に作用する曲げモーメントに直交する線で規定されています。点1 から点4 は管の外表面にあり、半径方向応力はゼロになります。点1 は引っ張りの曲げが作用し、点4 の圧縮の曲げが作用します。点2 と点3 は管の内表面にあり、半径方向応力は圧縮、すなわち負の圧力分となります。
長手方向応力 (Sl)、円周方向応力 (Sh)、半径方向応力 (Sr) とせん断応力 (St) はそれぞれの位置で適切な式を使って計算されます。
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せん断 |
円周方向 |
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1 |
||||
2 |
||||
3 |
||||
4 |
表の式はB31.3によるラーメ (Lamé) の円周方向応力の式としています。
これらの応力は主応力 S1、S2 と S3 に変換されます。次に代表的な図解による 4位置での計算方法を示しています。
赤で示されている長手方向応力 (Sl)、円周方向応力 (Sh)、せん断応力 (St) を使って主応力を算出します。主応力は、せん断応力がゼロとなる、直応力軸が赤い円と交差する点として参照されます。せん断応力がゼロである半径方向応力 (Sr) を同じ軸に置きます。最も大きな交差点の値が S1 で、最も小さな交差点の値が S3 になります。
等価応力、八面体せん断応力、フォン ミーゼス:
上式に主応力 S1、S2、S3 を代入して、それぞれの位置での八面体せん断応力を算出します。CAESAR II はこれらの 4つの算出された値のうち最も大きな値をレポートします。
3D最大せん断応力強さ (S.I.):
S.I. = S1-S3
CAESAR の環境設定で 3D最大せん断応力強さをデフォルトとして選択した場合に、ソフトウェアは最大応力強さ (S1-S3) をレポートします。