時刻歴解析 (Time History) - CAESAR II - ヘルプ

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

時刻歴解析は、応答スペクトル解析と比較して、より正確な、より計算能力を要する解析手法です。衝撃荷重、あるいは荷重履歴のわかっている他の過渡的荷重に最適な解析手法です。この解析手法は、運動方程式の荷重作用による振動挙動を解析し、すべての時間域での正確なシミュレーションを行うことができます。

調和振動解析 (Harmonic Analysis) での記載のように、運動方程式は次のようになります。

この微分方程式は、陽な形で直接解くことができません。しかし、荷重を微少時間で刻むことにより数値解析により積分することができます。時間刻みにおける加速度の変化は線形であると仮定して、システムの加速度、速度、変位が求められます。これによって、反力、断面力、応力が連続する時間ステップで求めることができます。

システムの全応答は、個々の振動モードの和に等しいことから、減衰の直交性を仮定して、上記の式は単純化されます。x = FX 変換により、次のようにモーダル系で表現することができます:

ここで

= モーダル系での時間に依存する加速度ベクトル

C´ = 直交減衰マトリックス、C´i = wi ci

wi = モード i の円振動数

ci = モード i の臨界減衰比

(t) = モーダル系での時間に依存する速度ベクトル

x(t) = モーダル系での時間に依存する変位ベクトル

W = 直交剛性マトリックス、Wi = wi2

この変換は、N次の非連成 2次微分方程式で、N は抽出できる振動モードの数になります。したがって、積分と同位相で代数的に重ね合わせが可能となり、システムの全応答を計算できます。CAESAR  II はニューマークの拡張法であるウィルソン (Wilson) q 法を用いて運動方程式を積分します。これにより、時間刻みの大きさにかかわらず無条件での安定解が得られます。

時刻歴解析では、1つのみの動的荷重が定義できます。動的荷重ケースは必要なだけ、静的と動的の合成荷重ケースを設定することができます。1つの荷重ケースは、システムの同時に、あるいは連続して作用する複数の荷重履歴から構成されます。それぞれの荷重と時間の履歴は 1つの縦軸の荷重とミリ秒で表される時間範囲に入力されていなければなりません。履歴は、時間と荷重で定義されますが、荷重軸のコーナー点で履歴が再定義されます。

時間は一度しか入力できません。定義した履歴範囲を外れる荷重ゼロの時間は入力する必要はありません。

たとえば、履歴が次のようであったとします:

時間 (Time) (MS)

荷重 (Force)

時間 (Time) (MS)

荷重 (Force)

0.0

0.0

20.0

1000.0

10.0

300.0

60.0

1000.0

20.0

1000.0

30.0

0.0

衝撃荷重ケースでは、荷重履歴は、大きさ、方向、作用荷重の位置を示す荷重セットと関連していなければなりません。作用荷重の大きさは荷重セットの大きさと衝撃荷重ケースの係数の積となります。

モーメントでも変位でもない、1つの荷重を時刻歴荷重履歴に入力することができます。 しかしながら、モーメントは荷重の組み合わせからモデル化でき、拘束点の変位は変形方向に拘束剛性と想定される変位を乗じて得られた荷重から得られます。

時刻歴解析から、次の 3つの結果処理を実行できます:

  • 動的荷重解析結果から、固有振動数、振動モード形状、刺激係数、質量、荷重、変位、拘束荷重、断面力、あるいは応力を照査します。CAESAR  II の時刻歴解析では、2種類の結果があります。1つは、個々の成分の最大値で、これには最大値の生じた時間と位置とともに軸応力、X方向変位、Z方向モーメントなどが出力されます。指定した時間での結果も出力することができます。動的解析結果は、振動モードと過渡的な荷重から、もっとも大きなモーダル寄与度をも示しています。

  • 過渡的荷重ケースから動的変形をアニメーションで確認します。アニメーションの表示中に、動的荷重のみによるすべての時間ステップでの変形、断面力、応力など個々の要素に関連したデータを表示することができます。また、静的と動的の合成での変形、断面力、応力など個々の要素に関連したデータも表示することができます。

  • アニメーションで、時刻歴応答で用いた個々の振動モード形状を確認します。