(適用対象: モーダル、調和振動、スペクトル、疑似静的、時刻歴の解析)
静的荷重ケースを以下の説明しているように指定します。リストから荷重ケースを選択します。
CAESAR II の動的解析は非線形システムには機能しません。動的解析では、1方向拘束は両方向に支持されている (active) か、あるいは浮き上がり状態 (inactive) のいずれかとし、ギャップは開いて (inactive) いるか、閉じて (active) いるかのいずれかにしてモデル化する必要があります。この処理は静的荷重ケースを選択することで自動的に行われます。CAESAR II では、選択した荷重ケースでシステムの非線形拘束の状態が自動的に決定されます。このことは選択した荷重ケースでの非線形拘束の状態を表現しています。たとえば、運転条件で動的荷重を想定すれば、運転時の非線形拘束の状態が自動的に設定されます。この自動的な線形化は必ずしも適切な動的解析モデルとなっているとは限りません。他の静的荷重ケースを選択する必要があることも生じるでしょうし、あるいは適切な動的応答を得るために手入力での変更が必要な場合もあるでしょう。
静的荷重ケースでの動的ジョブの前に解析を行う必要があるのは次のケースです:
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ジョブでスプリングハンガー設計を行う場合。動的解析で使われるスプリングハンガーの仕様を決める場合。
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1方向拘束、大回転ロッド、バイリニア型拘束、ギャップなどの非線形拘束がある場合。静的解析でそれぞれの非線形拘束の状態を動的モデルのために線形化しなければならない場合。
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摩擦を有する拘束がある場合。すなわち、ゼロでない摩擦係数 µ (mu) が入力されている拘束がある場合。
一般的な CAESAR II 解析でのもっとも多い荷重ケースは以下のとおりです:
例 1: ハンガー設計のない解析
1 = W+P1+D1+T1+H (OPE)
2 = W+P1+H (SUS)
3 = L1-L2 (EXP)
運転条件が動的過渡状態であるとすれば、このパラメータの正しい入力は 1 となります。据付け状態が動的過渡状態であるとすれば、このパラメータの正しい入力は 2 となります。ほとんどあり得ない熱膨張ケース 3 が動的過渡状態であるとすれば、このパラメータの正しい入力は 2 となります。ただし、これはどのような時の状態かを表現してはいません。単に前の 2つの差を表しているに過ぎません。
例 2: ハンガー設計のある解析
1 = W+P1 (ハンガー設計について)
2 = W+P1+D1+T1 (ハンガー設計について)
3 = W+P1+D1+T1+H (OPE)
4 = W+P1+H (SUS)
5 = L3-L4 (EXP)
正しい静的荷重ケースはスプリングハンガーが選択された後になります。運転条件が動的過渡状態であるとすれば、このパラメータの正しい入力は 3 となります。据付け状態が動的過渡状態であるとすれば、このパラメータの正しい入力は 4 となります。