(適用対象: モーダル、スペクトル、時刻歴解析)
モード次数のカットオフでシステムの結果に取り込むモーダル応答の次数を指定します。Setting に値を入力します。0 と入力すると、抽出するモード次数は 振動数カットオフ (Frequency Cutoff) (HZ) の値で制限されます。次のようにして高い値を入力します。
スペクトル解析、時刻歴解析、(およびモーダル解析の唯一の手順) の最初の手順は、固有値解析アルゴリズムを使って配管系の固有振動数と振動モードを抽出することです。スペクトル解析およびモーダル時刻歴解析では、荷重下の応答は振動モードごとに計算され、システムの応答は個々の振動モードを合成して得られます。多くのモードを抽出したほうが、その剛性としてのモーダルの応答は実際のシステムの応答に近くなるはずです。このアルゴリズムが連続したモードを繰返し計算で求めることで、多くのモードを解析しようとすると静的解析と比較して著しく計算時間がかかってしまいます。目的は、コンピュータに無理なリソースを使うことなく、妥当な解析結果を得るための十分なモードを抽出することです。
このパラメータは 振動数カットオフ (Frequency Cutoff) (HZ) との組合せで、動的解析において抽出する最大振動モード次数を制限することができます。このパラメータをゼロとすると、抽出するモード次数は振動数カットオフのみで制限され、システムの持つ自由度でも制限されます。
例
配管系が次の固有振動数であるとします:
モード次数 (Mode Number) |
振動数 (Frequency) (Hz) |
---|---|
1 |
0.6 |
2 |
3.0 |
3 |
6.1 |
4 |
10.7 |
5 |
20.3 |
6 |
29.0 |
7 |
35.4 |
8 |
40.7 |
9 |
55.6 |
計算された固有値の最大次数 (Max. No. of Eigenvalues Calculated) と 振動数カットオフ (Frequency Cutoff) から複数のモードが抽出されます:
計算された固有値の最大次数 (Max. No. of Eigenvalues Calculated) |
振動数カットオフ (Frequency Cutoff) |
抽出されたモード数 (No. of Modes extracted) |
---|---|---|
0 |
33 |
7 |
0 |
50 |
9 |
3 |
33 |
3 |
9 |
60 |
9 |
システムの変形精度にもっとも関心があるのであれば、少ない計算時間で済む数個の振動モードの抽出で十分でしょう。しかしながら、システムの断面力、応力の精度のよい推定が目的であれば、より多くの振動モードを必要とし、計算時間もかかります。軸方向拘束の配管系で流体ハンマー現象を解くような場合には特に当てはまることです。300Hz 程度の固有振動数までのモード計算が解に大きく影響を与えます。
どのくらいの振動モードまで抽出するかは、実際にある程度までのモードを抽出して結果を照査します。この操作を 5 から 10 程度の追加モードを含めて解析して、新しい結果と古い結果を照らし合わせてみます。2つの結果に大きな違いがるようであれば、さらに新しく 5 から 10 程度の追加モードを含めて解析し、再び新しい結果を古い結果と照らし合わせてみます。このようにして、結果が漸近するまで繰り返します。
この手順には 2つの欠点があります。1つ目は明らかにこのような繰り返しの解析には時間がかかることです。また、多くのモードを抽出するのも多くの時間がかかります。2つ目の欠点はスペクトル解析ではあまり明確ではないことです。高次のモード合成での保守性の程度にあります。可能なスペクトル合成は次のもので、すべて同じ符号、すなわち正の値で合成されます: 二乗和平方根 (SRSS)、絶対値和 (ABSOLUTE)、グループ (GROUP)。理論解では、剛体モードではお互いに他の剛体モードを打ち消します。これは時刻歴解析では当然起こる現象です。この保守性から、衝撃荷重の動的荷重係数 (DLF) が 2倍を超えない場合でも作用荷重の 2倍を超える結果になる可能性があります。