静的解析での疲労評価例 (Static Analysis Fatigue Example) - CAESAR II - ヘルプ

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

異なるいくつかの繰り返し荷重の例を考えてみます:

  • 雰囲気温度 70°F から運転温度 500°F へ 12,000回を想定する運転サイクル

  • シャットダウン時の外部温度変化として、雰囲気温度 70°F から -20°F への 200回の想定温度サイクル

  • 1800 psig への加圧で 12,000 回の想定サイクル

  • 圧力変動で +/- 30 psi から 1800 psig へ 200,000回の想定サイクル

適切な疲労解析を行うために、これらはもっとも厳しい応力範囲の組み合わせを代表する荷重セットに分類することが必要です。これらの荷重変動は、図式的に表現することができます。次の図は、この配管系の経験する異なる運転幅を示しています。それぞれの水平線は、応力範囲を示しています。水平線のそれぞれの端には、その範囲を定義する温度と圧力を示しています。水平線の中央には、それぞれの範囲の回数を定義しています。

この図の運転範囲を用いて、4つの疲労荷重ケースが決定されます。ケース 1: もっとも極端なケースとして、-20°F の 0 psi から 500°F の 1830 psi への変動があります。これは 200回になります。このケースの結果から、繰り返し数は 200回だけ減じられます。最初の範囲 (-20, 0 から 70, 0) はゼロに低下します。また、これは追加の荷重ケースに寄与することはありません。2番目の範囲 (70, 0 から 500, 1800) は 11,800回に減じられます。3番目と 4番目の範囲は同様に、199,800回に減じられます。

このように同じ手順でケース2 からケース4 を選定し、それぞれの既に考慮した回数は減じられます。この手順は次のようにまとめられます。

セグメント

-20, 0 から 70, 0

70, 0 から 500, 1800

500, 1700 から 500, 1800

500, 1800 から 500, 1830

ケース

初期

200

12,000

200,000

200,000

1 の後

0

11,800

200,000

199,800

2 の後

0

0

200,000

188,000

3 の後

0

0

12,000

0

4 の後

0

0

0

0

この表は、次の荷重間のサイクルとしての荷重ケースの設定のために使われます:

  • -20°F, 0 psig から 500°F, 1830 psig (200回)

  • 70°F, 0 psig から 500°F, 1830 psig (11,800回)

  • 500°F, 1770 psig から 500°F, 1830 psig (188,000回)

  • 500°F, 1770 psig から 500°F, 1800 psig (12,000回)

これらの温度と圧力は、運転条件として次のように入力します:

次に、材料の疲労線図データを入力します。疲労曲線 (Fatigue Curves) をクリックして、材料疲労曲線 (Material Fatigue Curve) ダイアログを開きます。このダイアログで、材料の疲労線図を入力できます。

IGE/ TD/12 規格では、5つの疲労線図を入力します。これらは、疲労クラス D、E、F、G、W に相当します。

  1. 8つまでの 繰り返し数と応力 (Cycle versus Stress) データを入力して疲労線図を定義します。補間は対数補間とします。

  2. 回数/応力 (Cycle/Stress) の組は回数に対して昇順で入力します。

  3. 応力値は、片振幅ではなく全振幅で入力します。

SHARED Tip 疲労線図は ファイルから読み込み (Read from file) をクリックして、テキストファイルから読み込むことができます。これにより、\CAESAR\SYSTEM\*.FAT ファイルのすべてのリストを表示できます。

CAESAR II で用意されている疲労線図のファイルは、次のとおりです。ユーザーが追加することもできます。疲労線図の詳細は、以下の Appendix A を参照してください:

  • 5-110-1A.FAT ASME Section VIII Division 2 Figure 5-110.1, UTS < 80 ksi

  • 5-110-1B.FAT ASME Section VIII Division 2 Figure 5-110.1, UTS = 115-130 ksi

  • 5-110-2A.FAT ASME Section VIII Division 2 Figure 5-110.2, Curve A

  • 5-110-2B.FAT ASME Section VIII Division 2 Figure 5-110.2, Curve B

  • 5-110-2C.FAT ASME Section VIII Division 2 Figure 5-110.2, Curve C

A106B 低炭素鋼 (運転温度 500°F) では、5-110-1A.FAT が適切な選択です。この場合の疲労線図は次のようになります:

エラーチェックを行い、荷重ケースを設定します。

静的荷重ケース作成に、新しい応力種類 FAT (疲労) が用意されています。この応力種類を次のように選択します:

  1. 荷重ケースの想定繰返し数を定義します。FAT 応力種類を荷重ケースにドラッグするか、荷重サイクル数 (Load Cycles) ボタンをクリックして 荷重サイクル数 (Load Cycles) フィールドを開きます。

  2. 応力範囲を適用規格の 疲労評価 (Fatigue Stress) 方法で計算するように設定します。IGE/TD/12 を除いてすべての規格でこの応力強さになります。

  3. 計算応力範囲と疲労線図から選択されたそのままの値が比較されます。累積使用 (Cumulative Usage) レポートを含むものとします。

最後の4つの荷重ケースが前に設定した荷重組み合わせとします。

ジョブが実行されて、応力種類 FAT が 累積使用 (Cumulative Usage) レポートとして、利用可能なレポートのリストに追加されます。

応力 (Stresses) レポートで、荷重ケースを選択することで、それぞれの荷重ケースに対して、疲労応力範囲に対する疲労線図の許容応力がチェックされます。それぞれの荷重ケースの照査し、すべての応力レベルが規格を満足していることを確認します。

しかしながら、この状態では正しい評価にはなっていません。荷重のいずれに対しても評価していないからです。配管系は、すべての荷重ケースを想定される設計寿命中に受けるのであり、いずれかの1つだけを受けるわけではありません。したがって、累積使用 (Cumulative Usage) レポートを照査し、システムの設計寿命中に受けるすべての疲労荷重ケース、あるいはユーザーの選択した組み合わせによる合計の影響を照査する必要があります。このレポートは、すべての荷重ケースの想定されるサイクル数、計算応力に対する許容繰返し指数、想定繰り返し数を許容繰返し数で除した累積損傷率を表示します。累積損傷率 (Usage Ratios) はすべての選択された荷重ケースに対して合計されます。この合計が 1.0 を超えていれば、システムは疲労強度を超えていることになります。このケースでは、最大累積損傷率は節点115 で 0.87 であり、疲労損傷の可能性がないことを示しています: