全体座標系と局所座標系の適用 (Applications Using Global and Local Coordinates) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

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日本語
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CAESAR II
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CAESAR II Version
13

全体座標系は、配管系のモデルを扱うときに使います。全体座標系はモデルの定義と節点での解析結果を照査する場合に用いられます。要素応力が局所座標系である軸と曲げ方向の成分で定義されますが、局所座標系はほとんど使われることはありません。標準的な配管解析における手順は次のとおりです:

  • 配管系モデルの全体座標系がプラントの方位との関係を決めます。通常は、2つの水平軸のいずれか 1つを 方向に一致するように選択します。しかしながら、全体座標系に対して配管系のほとんどの部分が傾くようであれば、モデルの再配置を検討します。配管系のほとんどの部分が全体座標系に一致することが望ましいでしょう。

  • 配管系は方向の変化する位置、拘束位置、末端、断面の変化する点、荷重作用点、その他の着目すべき点などを決めます。

配管系のモデルの節点が決まれば、全体座標での相対寸法を用いて定義します。分割 (Break)リスト (List)回転 (Rotate)複製 (Duplicate)方向余弦 (Direction Cosines) を利用して、配管系のモデルを構築します。

  • 入力データを照査し、荷重を確認し、モデルを解析して解析結果を検証します。

解析結果の検証では、さまざまな出力レポートがシステムの応答がある範囲にあることをチェックします。これらのチェックは、次のような事項が含まれます:

  • 運転変位が意味をなしており、運転制限内にあること、沈み込みすぎていないかをチェックします。節点量である変位は、全体座標系で照査します。節点に関連する局所座標系はありません。図7 と 8 のモデルでは、運転変位は図15 のようになります。

    図15 - 運転変位

    このレポートは、モデルのすべての節点の変位を、全体座標系での 6自由度について示しています。

  • 構造物の荷重ケースについて、拘束荷重を照査します。拘束が計算荷重に対して設計されることの確認を含みます。拘束荷重は節点量であるため、全体座標系で検証します。拘束に関連する局所座標系はありません。図7 と 8 に示したモデルに対する運転/持続拘束荷重を図16 に示します。

    図16 - 運転/持続拘束の要約

    このレポートは、固定節点10 と節点50 のすべての 6自由度の 2つの選択された構造物荷重を全体座標系で示しています。

  • 規格応力適合に対する規格ケースに対して照査をします。一般的には、規格応力がそれぞれの要素のそれぞれの節点に対して許容値に対して比較します。ときには、許容値を超える場合がありますので、軸、曲げ、ねじりの応力を照査します。これらの軸、曲げ、ねじり応力は局所座標系での量で、要素の局所座標系に関係しています。図7 と 8 に示したモデルに対する持続応力を図17 に示します。

    図17 - 持続応力レポート

これらのレポートは、モデルの配管要素を評価する十分な情報を提供してくれます。すなわち、適切な挙動と規格適合内容です。しかしながら、ジョブは完全ではなく、配管系が接続する機器や容器ノズルである端部の荷重と応力も評価しなければなりません。機器やノズルの種類に応じて、さまざまな手順や規格が適用されます。これらは、ポンプに対して API-610、容器ノズルに対して WRC-107 などになります。API-610 と WRC-107 の場合、規格で指定された局所座標系が用いられます。これらの局所座標系はポンプやノズル/容器の幾何形状によって定義されます。

機器の座標系が配管系の全体座標系と同じであれば、図 14 の節点50 のような拘束レポートのノズル荷重はそのままノズル評価に使うことができます。しかしながら、図 14 の節点50 のように機器ノズルが全体座標軸から傾いている場合には荷重の適用はやや難しくなります。このような場合には、局所座標系での要素の荷重レポートを用いた方がよいでしょう。要素の荷重レポートは配管要素に作用する荷重で、ノズルに作用する荷重ではないのですべての荷重の符号を反転しなければならないことに注意してください。From節点40 から 50 の要素に対して、局所要素荷重レポートを図 18 に示しています。

図18 - 局所要素荷重レポート

配管のモデルにおける座標系と API、WRC などの機器規格ノズルとの相互関係は、しばしば時間がかかり、誤りが生じやすいため、 CAESAR  II は静的解析結果からノズル荷重を直接得ることができる機器モジュールのオプションを用意しています。節点と荷重ケースを選択します; CAESAR  II は評価すべき荷重を取得して、適用する機器規格によって定義される適切な座標系に回転します。ユーザーは、傾いている場合も含めて全体座標系から局所座標系の変換に気をかけずにすみます。図19に示すように、節点50 での API-610 のノズル荷重は 荷重ジョブと荷重ケースの選択 (Select Loads Job and Load Case) をクリックして取得されます。

図19 に示す荷重は CAESAR  II の全体座標系です。図 16 に示すような運転荷重ケースでの拘束結果要約の値と比較して容易に照査できます。

図19 - API-610 ノズル荷重の取得

API-610 解析での出力では、全体座標と API 局所荷重で出力されます。例を図 20 に示します。

図20 - API-610 ノズル出力レポートセグメント

図 20 でのそれぞれのレポートのセグメントは、どれが全体座標系で、どれが API の局所座標かを示しています。