高温クリープ荷重 (Creep Loading) - CAESAR II - ヘルプ

CAESAR II ユーザーズガイド

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日本語
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CAESAR II
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ヘルプ
CAESAR II Version
13

クリープは機械的応力下の材料に生じる緩やかな永久変形です。クリープ現象は長期間の高温状態で材料の降伏点以下の比較的高い高応力が作用しているときに生じます。発電設備のボイラー配管が高温クリープ荷重を受ける代表的な例です。

材料 (Materials)

高温下では、クリープが材料の許容値を決める際の主たる要因になります。クリープで支配される許容値は、時間依存の許容値と呼ばれ、荷重作用時間がパラメータになります。

ASME B31.1 と ASME B31.3 の材料の許容値は、デフォルトでは 100,000時間の値を基にしています。

EN-13480 の材料のクリープ寿命は、次の例に示すように変化します。CAESAR II では材料名にクリープ寿命を含むようになっています。

CAESAR II の材料番号 406 の材料である 1.0345S-16-100 は次に示す材料の許容値になります:

  • 16 - 最大厚さが16 mm であることを示しています。

  • 100 - 100,000時間に対する許容値であることを示しています。これが CAESAR II のデフォルトになります。

CAESAR II の材料番号 406 の材料である 1.0345S-16-200 は次に示す材料の許容値になります:

  • 16 - 最大厚さが16 mm であることを示しています。

  • 200 - 200,000時間に対する許容値であることを示しています。

対応するクリープ作用時間の材料の許容値がない場合には、必要な時間に対する材料データベースをカスタム材料として登録する必要があります。

計算 (Calculations)

CAESAR II では、クリープ応力 (CRP) は持続荷重ケース (SUS) と 1つの熱膨張荷重ケース (EXP) のスカラーでの組み合わせになります。ソフトウェアは多くの配管規格が参照している EN-13480 のクリープ応力計算を行います。

クリープ応力計算は EN-13480 Paragraph 12.3.5 に従います:

規格

1つの SIF (Single SIF)

方向性のある SIF (Directional SIF)

EN-13480-3:2017

CODETI-2016

SUS+(0.75/3)(EXP)(2)

SUS+(1/3)(EXP)(1)

EN-13480-3:2017/A4:2021

SUS+(0.75/3)(EXP)(3)

その他すべての規格および
一般的なケース

SUS+(1/3)(EXP)

(1) EN-13480-3:2017 では、方向性を持つ SIF を用いた陽な形の応力式を与えていないので、CAESAR II は熱膨張応力 (EXP) に対して保守的な計算を行います。

(2) EN-13480-3:2017 では、すべての熱膨張応力値 (EXP) に対して、係数 0.75 を適用します。EN-13480-3:2017/A4:2021 では、熱膨張 (EXP) モーメント応力値に対して、係数 0.75 を適用します。

(3) EN-13480-3:2017/A4:2021 では、曲げモーメントに対して、係数 0.75 を適用します。軸方向とねじり応力成分に対しては、係数 0.75 を適用しません。

環境設定ファイルの編集 (Configuration Editor)EN-13480/CODETI Use In-Plane/Out-Plane SIF (EN-13480/CODETI 面内/面外の SIF 使用)True に設定すると、方向性のある SIF の使用を制御できます。

この式に準拠してクリープ応力を計算する場合には、荷重ケースエディタ (Load Case Editor) の例に示すように、荷重乗数を指定する必要はありません。荷重乗数を指定した場合は、その乗数をスケール ファクターとして考慮しクリープ応力が計算されることに注意してください。

荷重ケース編集 (Load Case Editor)

CAESAR II はクリープ荷重ケースを自動作成することはありません。ユーザが 応力タイプとして CRP を使ってクリープ荷重ケースを作成してください。必要とされるそれぞれのひずみ範囲からクリープ応力範囲を定義することができます。

次に示す荷重セットは 2つの圧力 (P1 と P2) と 2つの温度 (T1 と T2) があり、T2 はクリープ範囲にあるとしています。

  • 2つのクリープ荷重ケース (L9 と L10) は、運転条件 T2 での P1 と P2 に対応しています。

  • 最後の荷重ケース (L11) はすべての CRP ケースにおいて最大応力を計算するための最大の組み合わせケースです。

荷重
ケース


定義


内容

応力
タイプ

合成
方法

L1

W+T1+P1

OPERATING CASE CONDITION 1 (運転条件1)

OPE

未定義

L2

W+T2+P2

OPERATING CASE CONDITION 2 (運転条件2)

OPE

未定義

L3

W+T2+P1

OPERATING CASE CONDITION 3 (運転条件3)

OPE

未定義

L4

W+P1

SUSTAINED CASE CONDITION 1 (持続荷重ケース1)

SUS

未定義

L5

W+P2

SUSTAINED CASE CONDITION 2 (持続荷重ケース2)

SUS

未定義

L6

L1-L4

EXPANSION CASE CONDITION 1 (熱膨張ケース1)

EXP

代数和 (Algebraic)

L7

L2-L5

EXPANSION CASE CONDITION 2 (熱膨張ケース2)

EXP

代数和 (Algebraic)

L8

L3-L4

EXPANSION CASE CONDITION 3 (熱膨張ケース3)

EXP

代数和 (Algebraic)

L9

L5+L7

Creep case between SUS L5, EXP range from L5 to L2 (クリープケース、SUS L5 とEXP (L5 to L2 全振幅))

CRP

スカラー (Scalar)

L10

L4+L8

Creep case between SUS L4, EXP range from L4 to L3 (クリープケース、SUS L4 とEXP (L4 to L3 全振幅))

CRP

スカラー (Scalar)

L11

L9, L10

最大クリープケース (Max creep case)

CRP

最大 (Max)