規格の Part UHX は大きく 4つのセクションに分かれています。最初のセクションは U字管の熱交換器で、2番目のセクションは固定管板熱交換器です。3番目のセクションは遊動管板熱交換器で、4番目のセクションが管 - 管板継手溶接についてです。それぞれのタイプの熱交換器の計算を行う場合には一連の手順に従って行います。CodeCalc はそれぞれのステップの順に計算し、それぞれのステップで適用すべき計算式に値を代入して答えを出していきます。与えられた形状に対してすべての結果を表示します。加えて、プログラムは繰り返し計算で管板の最小厚さを算出します。必要であれば、CodeCalc は構造不連続部における応力があれば、第2弾性係数を用いた繰り返し計算も行います。プログラムは ASME 規格に従って、固定式管板設計の複数の荷重ケースに対して計算も行います。固定管板熱交換器で考慮された荷重ケースを表で示します。
荷重ケース # |
腐れ代考慮する |
腐れ代を考慮しない |
1 |
Fvs+Pt-Th-Ca |
Fvs+Pt-Th |
2 |
Ps+Fvt-Th-Ca |
Ps+Fvt-Th |
3 |
Ps+Pt-Th-Ca |
Ps+Pt-Th |
4 |
Fvs+Fvt+Th-Ca |
Fvs+Fvt+Th |
5 |
Fvs+Pt+Th-Ca |
Fvs+Pt+Th |
6 |
Ps+Fvt+Th-Ca |
Ps+Fvt+Th |
7 |
Ps+Pt+Th-Ca |
Ps+Pt+Th |
8 |
Fvs+Fvt-Th+Ca |
Fvs+Fvt-Th-Ca |
Fvt, Fvs - ユーザー定義のシェル側と管側の真空圧力あるいは 0.0
Ps, PT - シェル側と管側の設計圧力
Th - 熱膨張の有無
Ca - 腐れ代の有無
これらの荷重ケースを実行すると、プログラムは圧力のみか、圧力+熱荷重ケースかによって自動的に許容応力を調整します。
アップセット条件での解析が必要なときがあります。複数の解析ケースで、たとえば 0、15 psi のようにシェルとチャネルの負圧力を入力することができます。これはプロセス流体の一部の流れが停止した場合であったりします。
管板は応力制限を満足するとともに、管は異なる熱膨張で生じる軸荷重に耐えられるようでなければなりません。これらの荷重は ASME 規格式 (App A or UW-20) に従った許容荷重以下ででなければなりません。管の応力は Section UHX でもチェックする必要があります。
最終的に、構造不連続部の応力が許容応力以下である必要があります。これらの応力が許容応力を超えれば、CodeCalc は第2段階として弾性での繰り返し計算を行います。一体部品の塑性が考慮されます。繰り返し計算が行われると、応力値は許容応力を下回ることがあります。この繰り返し計算を行わなければ、設備の形状を再検討する必要があります。
管板の中心に溝があれば、溝の深さを管板の全厚さから差し引くべきでしょう。シェル/チャネルと管板の接合部の曲げ応力は、管板に近いところを部分的に厚くすることで低減することができます。
ステータス バー上での結果の表示
ユーザーがデータを入力し、プログラムが解析を行い、ステータスバーに重要な計算結果を表示します。また、エラーがあればメッセージが表示されます。これにより管板の設計が迅速に行われ、最適な形状になるように試行錯誤することが容易になります。不合格の場合には赤字で表示されます。ここに例を示します:
-
管板モジュールでの厚肉伸縮継手の設計 (Design a Thick Expansion Joint in the Tubesheet Module)
Tubesheet モジュールに厚肉の伸縮継手の形状を入力したのち、プログラムは伸縮継手の設計を次のように行います:
-
伸縮継手のばね定数を計算します
-
固定管板計算で伸縮継手のばね定数を使います
-
管板計算結果を使って、主たる圧力 P’s、P’t、Pd (TEMA 標準を用いて計算された) で伸縮継手の応力を計算します。
-
それぞれの管板の荷重ケースに対して伸縮継手の計算をします。プログラムは最悪のケースを表示し、詳細な結果も確認することができます。
ソフトウェアは、特定の厚肉伸縮継手の特性で有限要素法解析 (FEA) を実行することもできます。詳細は、有限要素法解析 (FEA) と ASME または TEMA 伸縮継手 を参照してください。
管板の MAWP と MAPnc
プログラムはシェル側と管側の MAWP、許容最大運転圧力を計算します。MAPnc は新しい冷間時の最大許容圧力です。これも両側で計算されます。フランジと流体の厚い熱伸縮継手が指定されると、MAWP/MAPnc も計算されます。プログラムは一方の側の圧力を 0 として MAWP/MAPnc を計算し、他方の圧力を繰り返し変化させて最大許容圧力を計算します。サマリーの表では、最大圧力とさまざまな応力条件での対応する応力比が示されます。